日本経済新聞 平成29年10月7日

税制改正とは別に注目したいのが、企業が従業員向けに設ける「手当」です。配偶者手当や家族手当の支給基準を、多くの企業は税制上の配偶者控除にならって「103万円以下」としています。

それは今後も続くというのが大方の見方です。103万円近辺にあった税金の壁はなくなっても、夫の勤め先から手当を得るために年収を103万円以下に抑えようとする妻は存在し続けそうです。

103万円の壁。
妻のパート先での年収が103万円を超えた場合、夫が年末調整や確定申告の際に「配偶者控除」が受けられない=納税額が多くなる。(年末調整では12月や1月のお給料から多く天引きされる)

すると「妻の稼ぎの増加よりも夫の税金支払額の増加が多くなる」ことがあり、この場合、妻は103万円以内で働けばよかったね。という結果となるため妻の働き方に大きな影響を与えています。

このことから、年収103万円のラインを意識して働かれている方も多く「103万円の壁」と言われています。
(実際には、夫の年収が1,220万円(額面)以下であれば、妻の年収が103万円超でも妻の年収に応じて控除額が「徐々に」減っていく仕組み(=配偶者特別控除)があり、多くの場合「妻の年収の増加額 > 夫の税金支払額の増加額」となることが多いです。)

本日のタイトルの通り、この「103万円の壁」が来年から「150万円の壁」に改正されます。これにより来年以降は、妻の収入が150万円までであれば夫の税金支払額は増加しません。

ここで、配偶者控除・配偶者特別控除の制度が改正になったから「150万円」までは損しない!良かった!と考えてしまうと要注意です。

この103万円→150万円の改正は、あくまで「所得税」についての改正なので日経新聞の記事のように夫の給与明細書を見て「配偶者手当」「扶養手当」「家族手当」といった名目で支給されている金額がある場合には、夫の勤務先に「手当の支給は妻の年収によって変わるのか。」を確認することがベターです。
手当は、それぞれの勤務先の給与規定に従いますので「103万円」「130万円」「妻の年収関係なし」など様々です。支給額も、一般的に毎月3,000円~10,000円くらいかと思いますので、妻の年収が増えたから支給無しになってしまうのは家計にとって痛手です。

先日ご案内しましたが、昨年より加わった大企業勤務の方の社会保険に関する「106万円の壁」、一般的な社会保険に関する「130万円の壁」、そして今回の103万円から変更になった「150万円の壁」勤務先独自の「〇〇手当の壁」と、壁は盛りだくさんですし、配偶者控除関係は他にも来年から大きな改正点がありますので今後もまた続報したいと思います。

社会保険適用拡大のポイント