週刊税のしるべ 平成29年10月16日

青色申告をしている法人や個人事業主が使える優遇税制の一つに「所得拡大促進税制」があります。

この制度を端的に言うと、従業員への給料の合計額を前年以前より増加させた場合に、その「増加金額×10%」分を納税額からマイナスできるという制度です。

これは会社の利益を、お給料UPで従業員に還元することで従業員が個人的な買い物をたくさんするようになり景気を良くしよう。という経済政策からできた制度で、業績の良い会社にとってお給料UPにより従業員にやる気を出してもらえ、なおかつ節税もできる!というとても良い制度です。
※ 納税額から控除できる制度なので、赤字の場合は利用できません。
※ 設立・開業初年度用の計算方法もあるので、1期目(初年度)から適用できます。

ですがこの制度には「当初申告要件」という要注意の要件が付されています。

この「当初申告要件」というのは、確定申告書を提出した後に「所得拡大促進税制」を受けられることに気が付いて
税務署に訂正をお願いしても、後からでは税務署は認めませんよ。という厳しい要件です。

今回の採決事例もこの「当初申告要件」が争点となりました。

当初申告の際、所得拡大促進税制の適用を受けるための明細書を添付したが、申告書には入力ミスで0円と記入して
提出してしまったところ、同制度の適用を受ける意思があったことは明らかだから、更正の請求(=所得拡大促進税制を受けられて還付を受ける請求のこと)は認められるべきだ。と納税者は主張。

審判所の裁決は、もちろん「認められない」と。
「0円」を基礎として計算したものは、控除できる金額も「0円」となるとのことです。

所得拡大促進税制は納税者が受けられるメリット(節税額)も大きいので、当事務所のチェックリストにもしっかり入っています。