小規模企業共済と確定拠出年金(iDeCo)はどちらも、老後のために積立貯金した金額をお給料や事業の利益から差し引けるため、支払う税金(所得税や住民税)が少なくなるという点では同じものです。具体的には小規模企業共済は「事業を引退(廃業)したとき」、確定拠出年金は「60歳以上」に積み立てた金額を引き出せるので、個人事業主にとっての退職金とも良く言われます。
今日は、この小規模企業共済と確定拠出年金の主な違いについてです。
目次
小規模企業共済なら途中で「貸付」が受けられます
どちらの制度も現役引退後の生活費に充てるための積立てが目的のため、小規模企業共済は「事業を引退(廃業)する前」に解約すると大きく元本割れ(=もらえる金額が積立てた金額より少なくなり損をすること)してしまいますし、確定拠出年金は「60歳になる前」には原則解約できません。
ただ、大きく異なるのは、小規模企業共済には「貸付」制度があることです。これは何かの理由でお金が必要になったときに、掛金(=既に積立てた金額)の7割~9割を限度に貸付を受けられる制度です。あくまでお金を“借りる”ですので、返済しなければいけませんが、確定拠出年金では解約も貸付もできないことを考えると小規模企業共済ならではのメリットです。
小規模企業共済なら「前納」により大きな節税ができます
確定拠出年金には前納という仕組みはありません。加入手続きが済んでから毎月68,000円(自営業者の場合)を上限に積立て、その積立額分だけ確定申告で所得控除を受けることになります。
一方、小規模企業共済では前納(=翌年分の掛金を今年中に積立てることができる)ため、最大で2年分の積立額について所得控除を受けることができます。(小規模企業共済の掛金上限は70,000円/月です)
確定拠出は最大でも1年分の積立額を所得控除。
小規模企業共済なら最大2年分の積立額を所得控除。
今年大きな利益が出てしまっ方にとっては、小規模企業共済の方がメリットが大きいですね。
確定拠出年金なら積立金の「運用」方法を選べます
小規模企業共済は基本的に運用方法は選べず共済金の種類(=解約の理由)により年間1%~1.5%の運用益が加算されます。
一方で確定拠出年金は運用方法が選べるため、運用方法によっては将来、小規模企業共済よりも多くの運用益を受け取れる可能性があります。より多くの運用益を得るためには投資信託での運用を選ぶ必要があるため経済状況や選んだ投資信託の成績によってはマイナスになってしまうこともありますので注意は必要ですが、世界中の株式や債券に幅広く分散投資しているインデックス型の投資信託では過去の上がり下がり平均すると年3%~6%で運用できているという事実があります。今後の10年・20年も過去と同じ結果になるとは限りませんが、将来に向けて資産を運用したい方にとっては運用方法を選べるという点で確定拠出年金がおすすめです。
まとめ
小規模企業共済と確定拠出年金の特徴の一部について書きました。これ以外にも細かな違いはありますので「税金対策+将来に向けた積立て」をご検討したい方はご相談ください。
どちらの制度も積立額の変更は自由にできますので気楽に始めて頂いて大丈夫です。ただ、小規模企業共済を減額する場合だけ多少デメリットがあるのでご注意ください。長期間の積立てですのでまずは今の生活や事業の資金繰りの負担にならない範囲の金額からスタートすることをお勧めしています。