データが拓く飲食店の可能性【後編】――個客へのフォーカスが生み出すもの

日本初となるサブスクリプションモデルの飲食店を経営している株式会社favy。前編では、飲食業が、ビジネス構造にある根本的な課題によって顧客データを収集・活用できない状況と、その解決策となるサブスクリプションモデルの有用性を解説した。後半では…


サブスクリプションサービス(=月額制サービス)は、音楽配信サービスなどを中心に一般的になりつつありますが、飲食業にも月額制によりサービスを提供するところが出てきましたね。

データが示す「coffee mafia」の会員の来店回数は、月平均19回だ。favy代表取締役 高梨巧氏によれば、「この数字は、オープン前の想定よりもだいぶ多く、これだけでみれば赤字」だそうだが、「19回も来店しているということは、サイドメニューの提案機会を19回もいただけていること」と捉え、データを活用して顧客ごとの嗜好を捉えたクロスセルやアップセルに取り組んでいる。事実、会員と非会員を比較すると、月会費を除いても、会員の客単価の方が非会員よりも高いという結果が出ているという。

また、データがあることで、何時にどれくらいの来客があるかも予測できるので、それに合わせてリソースを配分し、オペレーションの最適化を図れるというメリットもある。

データが拓く飲食店の可能性【後編】 より引用)

「29ON」は完全会員制かつ完全予約制を採っている。(中略)完全予約制ということで、常に何人が何時に来店するか事前に分かるため、過剰な仕入れを防ぐことができ、食材の廃棄率も低くなる。コースの時間も、18時と21時の2回転制で設定しているので、オペレーション効率も高く、人件費を抑えられる。これらはすべて食材の原価に反映されており、29ONの食材原価率は、通常の飲食店では考えられない50%超だ。

データが拓く飲食店の可能性【後編】 より引用)

昔から現金商売のため売上データのマーケティング活用が難しいとされていた飲食業ですが、こうしてデータを活かした仕組み作りは素晴らしいですね。