平成29版年末調整のしかた(書籍)こんにちは。今日も気持ちのいい天気ですね。

皆さん、年末調整は終わりましたか?お勤めの方は勤務先へ提出済みですよね。経理担当の方は、書類確認や計算は済みましたか?

今日は、顧問先の社長や経理担当の方から、この時期によく頂く年末調整の質問についてです。

目次

支給日が来年1月10日の12月分の給料は年末調整の対象?

お給料が毎月25日締めや末締めで、翌月5日や10日払いの場合は迷いますよね。こちらは「対象外」が正解です。

年末調整の対象となるお給料は、従業員から見て「収入の確定する日」で判断します。

多くの会社では雇用契約や就業規則により、支給日(=従業員への振込日)が毎月〇日と決まっていますよね。支給日が決まっていればその支給日が従業員にとって「収入の確定する日」となります。そのため、今回の1月10日支給の12月分のお給料は来年分の年末調整の対象となります。ですので、この会社の場合には規則の改定等で支給日に変更がない限り、毎年「1月10日~12月10日に支給の給与」+「賞与等」の合計で年末調整を行います。

12月入社の中途採用者の年末調整は必要?

中途入社の方に対し、12月中に支払うお給料がなければその方の年末調整は行えません。

年末調整は「その年の最後の給料等を支払うとき」に行うものですので、入社日~12月31日までに支払うお給料がないと年末調整は行えないのです。この場合、中途入社の方は前職の源泉徴収票等を用意してご自身で確定申告を行い税金が精算されます。

なお、12月1日に入社し、12月1日~15日の勤務分を12月25日に支給するなど、年内に支払う給料がある場合には
支払時に年末調整を行わなくてはいけません。

「確定申告するから年末調整不要」という従業員が。どうする?

従業員から「確定申告するから」という理由で年末調整不要の希望があっても、会社は年末調整を行わなければいけません。

会社は、
① 源泉税の計算で甲欄適用の従業員のうち、
② 年間の支払額が2,000万円以下の従業員で、
③ 12月の給与or賞与の支給日に在籍している従業員
の年末調整をする義務があるからです。(所得税法第190条)

経理を担当されている方は、会社が法律違反になってしまうことを伝え、適切に書類の収集を行いましょう。

年末調整後に子供が産まれた場合はどうする?

年内最後の給料日がきて、年末調整の還付や徴収がされた後の12月下旬に従業員(の奥様)が出産された場合ですね。

この場合、年末調整の扶養控除額には影響がありませんので、年末調整をやり直す必要はありません。

というのも、平成22年度の税制改正以降16歳未満の扶養親族は扶養控除の対象外だからです。

ただ、所得税・住民税ともに対象外ですが、住民税では非課税基準という判定があり扶養人数が増えることで年収や扶養人数により住民税額が非課税になるケースもあります。

従業員の方が給与所得のみの場合、非課税になる概算金額は下のとおりです。
・扶養人数 0人:年収100万円以下
・扶養人数 1人:年収170万円以下
・扶養人数 2人:年収221万円以下
・扶養人数 3人:年収271万円以下
※基準はお住まいの市町村により多少異なります。

そのため、扶養控除申告書の下部にある「住民税に関する事項」欄には、16際未満の扶養親族として追記する必要があります。

まとめ

年末調整で顧問先の社長や経理担当の方よりよく頂く質問についてまとめました。

年末調整の一番のポイントは、いかに速やかに正しく資料を収集できるかです。もうこの時期ですので資料が揃い計算作業中もしくは完了しているかと思いますが、また来年の年末調整業務に向けてエビデンスの作成・保管もしっかりとしておきましょう。

年末調整については様々な質問を頂きますので、また機会があれば書きたいと思います。