書籍「PROFIT FIRST(プロフィットファースト)」

こんにちは。税理士の比留間です。本日は、最近読んだ本の中から経営者の方へのおすすめ本をご紹介します。

「PROFIT FIRST/マイク・ミカリウイッツ 著」

いわゆる会計本ですが、この本の考え方の大きな特徴は、

「売上ー利益経費

儲かる会社にしたいなら、まず利益を第一に考えよう。

という点です。

経営者の方は毎月、または3か月、または1年に一度は、経理担当者や税理士が作った損益計算書を確認し、「1.売上がいくら」「2.経費がいくら」「3.利益がいくら(⇒ だから税金がいくら)」という順番で報告を受け「売上ー経費利益」という会計の大原則の公式(=「売上から経費を引いて、残った分が利益」という公式)に則った説明を受けているかと思います。

ですがこのプロフィットファーストではまさにその言葉通り「利益を先に確保」します。

売上の入金があったらそこから経費を支払うのではなく、まず利益を確保する。そして、利益を引いて残った分が経費に使えるお金である。という考え方です。

これは貯金を継続しやすい給与天引き貯金(会社の財形貯蓄)や給与の入金と同時に貯金専用の口座に振替える方法と同じですね。

そして、このプロフィットファーストをシンプルに確実に実行するために複数の銀行口座を使った方法について書かれています。

表紙を見ただけではお金を増やすために貯金をしましょう。という本に見えてしまうかもしれません。しかし利益を第一に考えることで得られる事業効率性の追求や人間の習性・習慣に基づいた手法など、中小企業の事業経営に役立つことが盛りだくさんです。プロフィットファーストの考え方は資金繰りにとって大切な考え方です。

税理士は納税額をできるだけ少なくするために「経費を増やし、利益を減らす」というプロフィットファーストとは正反対の提案をしてしまいがちですが資金繰りにお困りの方や、売上は伸びているけど利益が残らないとお悩みのお客様には、プロフィットファーストの考え方を積極的に取り入れ、事業経営に役立つご提案をしていきたいと思います。

以下書籍よりメモ。

もし、いつかあなた自身のお金を得るために成長したいというのなら、遠回りをしている。これが現実なのだが、もしも、健康的に持続性のある成長をしたいと思うなら、利益から逆算する必要がある。利益を先に得るのだ。利益の問題を解決せずに成長することなどできない。まずは利益を確保する。それから成長だ。利益を生むものを見定め、そうでないものを切り捨てなければならない。成長に焦点を合わせると、何を犠牲にしても成長しようとするあまり、非常に困難な身を辿ることになる。(p60-61)

 

いついかなるときでも、一番大切なのは現金だ。それはビジネスにとっての血液のようなものだ。あなたは現金を持っているか?もし持っていなければトラブルに巻き込まれるだろうし、持っていればあなたは持ちこたえられる。(p77)

 

利益を最初に考えることで、あなたがしていることのうちの何がお金を生んでいるのか、何がお金を生んでいないのかも分かるようになるだろう。それが分かれば、次にすることは明確だ。より利益が出ることをもっと行うようにし、そうでないものについては改善するか、捨て去ってしまうのである。利益をもたらすものには自然に注力するようになる。そしてどんどんそれが得意になっていくだろう。顧客が欲しがり好むことがもっと得意になれば、彼らもあなたのことがもっと好きになるだろう。こうしたことすべてが、より早くより健康的な成長に繋がるのだ。(p103)

 

プロフィットファーストとは、キャッシュマネジメントの仕組みだ。発生主義とか、その他お金に関する不可思議なルールには触れない。とてもシンプルだ。現金を手に入れたのかどうか、その現金を使ったのかどうか、それだけだ。現金だけに集中するのである。(p137)

 

成功の新しい定義は、最大の売上、多くの従業員、広いオフィススペースではなく、最小の従業員と、安い家賃のオフィススペースから生まれる最大の利益である。効率性と倹約、そしてイノベーションによってゲームを勝利に導くのだ。サイズや才能や見た目ではない。(p264)